★第2回道徳授業そうぞうHouseを5月26日(土)に開催します。案内は、このページの下の方にあります。


4月28日(土)、第1回道徳授業そうぞうHouseを開催しました!

 なぜ今、「道徳授業そうぞうHouse」か?

 昨年、道徳の教科化を間近に控え、道徳に関わる様々な講座やセミナーが開催されていました。いくつもの会に参加しましたが、正直言って「これは勉強になった」というセミナーは、百のうち一つあるかないかでした。それは、大学の先生の話も文部科学省調査官の話も、多くの話が学校現場に即していないからです。
 立派な理論であっても、それを実践するのはとても難しいことです。なぜかと言えば、一つには、そういう授業をつくる「授業づくり」の勉強をどの先生もしていないからです。そしてもう一つは、授業の流れができても、それを料理して舵取りする「対話力」を教師が身に付けていないからです。
 昨年度1年間で、百以上の道徳の授業を見ました。また、研究指定の関係で、「問題解決的な道徳」の授業もやりました。そこで感じたことは、やはり道徳の授業は、地に足をつけて地道な授業づくりと教材研究を行い、そして、みんなでわいわいと資料分析をするべきだということです。また、「対話力」という目にはなかなか見えにくい力を、教師が地道な勉強と実践を通して身に付けていくことがとても大切だということです。しかし、実際には、この二つのことをしっかり学ばせてくれる研修会は、日本広しと言えども、どこを探してもありません。
 先日、ある小学校に校内現職教育の講師として呼ばれ、道徳授業づくりの講座を開きました。その学校の先生方に、事前に道徳の授業で困っていることを聞いたら、「授業がうまくいかない」、「深まらない」、「児童の意見を拾えない」ということなどが挙がっていました。話すことをたくさん用意して行ったのですが、そのほとんどを切り捨て、「対話力」に絞って講座を進めました。先生方は皆、‘目から鱗’という感じでした。終わった後に、多くの先生方が「道徳の授業づくりってこんなに楽しいものなんですね」と言われました。
 その講座の最後に、教頭先生が「今日やってくださった授業の発問や流れは、どうやって考えられたのですか」と質問されました。「それが、道徳の授業づくりです。道徳の授業づくりだけで、1講座の現職教育が必要なくらいです」とお答えしたのですが、参加された先生方は、口々に「知りたい」、「知りたい」と言ってみえました。もちろん、その日に使った資料を追試すれば手応えはあるだろうし、その1時間はきっとうまくいくでしょう。事実、その後に実践した先生から喜びの声が届きました。しかし、その次に自分で道徳の授業をつくることはできないでしょう。だからこそ、道徳の授業づくりの講座が必要なのです。が、どこを探しても、そんなことを教えてくれる人は、なかなか見つけられません。
 今、「道徳の教科化」で文部科学省(以下、文科省)が多様な学習方法として例を挙げた三つの手法に、多くの教師が何か踊らされているような感じがしています。事実、ある中学校では、「問題解決的な方法」をやらされて、若い先生が苦しい思いをしています。問題解決的な方法も決して悪くはないのですが、それだけではいけないし、本当にそれが本時に扱う道徳性を高めるために有効かどうかを考えて使わなければいけません。「ハウツー的な感覚」で飛びついている感じが、とてもしているのです。そんな今だからこそ、道徳の本質をしっかり学び、心情をしっかり考えさせ、価値と誠実に向き合う道徳の授業づくりが必要なのです。

第1回要項「そうぞうHouseが目指す本物の道徳の授業についての解説」より 竹内稔博(そうぞうHOUSEファシリテーター)

 

 道徳授業クライシス(崩壊)を食い止めるために

1 「道徳の教科化」は、何をもたらしたのか?
(1) なぜ「道徳の教科化」だったのか?
 道徳の教科化が進められた理由には多くのことがあるようですが、最も大きな力として働いたのは「いじめ問題への対応」だったのでしょう。教育再生会議(2006.10~2008.1)から提案され、一度は「道徳は教科になじまない」という理由で中央教育審議会 (以下、中教審)で反対された「道徳の教科化」が、教育再生実行会議(2013.1~)や道徳教育の充実に関する懇談会(2013.3~)からの提案を受け、今度は中教審が賛成をせざるを得なかったことには、2011年に大津市で起きた「いじめによる中学2年男子の自殺」が大きく影響しています。事実、改正された学習指導要領には、次のように書かれています。
【改正小学校学習指導要領】
 今回の道徳教育の改善に関する議論の発端となったのは,いじめの問題への対応であり,児童がこうした現実の困難な問題に主体的に対処することのできる実効性ある力を育成していく上で,道徳教育も大きな役割を果たすことが強く求められた。道徳教育を通じて,個人が直面する様々な状況の中で,そこにある事象を深く見つめ,自分はどうすべきか,自分に何ができるかを判断し,そのことを実行する手立てを考え,実践できるようにしていくなどの改善が必要と考えられる。(第1章 総説 2改正の基本方針より抜粋)
(2) 道徳の教科化で「いじめ」や「いじめによる自殺」は防げるのか?
 道徳教育の目標は、どこまでいっても「児童生徒の道徳性を高める」ことにあります。その中で、学校教育全体で行う道徳教育や各学級で行われる道徳の授業に、いじめやいじめによる自殺を「減らす」、あるいは「失くす」ために果たす役割があることは確かです。しかし、道徳教育は「心の教育」であり、“即効性”を期待するものではありません。だから、道徳を教科化してもすぐにいじめやいじめによる自殺を減らすことができないことは、誰もが分かることでしょう。
 いじめ問題への対応が道徳の教科化議論の発端だと言う文科省でさえ、先に上げた学習指導要領(改正小学校学習指導要領)の解説の中で「いじめ」に言及しているのは、全109ページの中で6箇所だけです。それも、改正の経緯や基本方針の所で2回使われ、残りは内容項目の「相互理解,寛容」と「公正,公平,正義」の所で使われているだけです。これだけのことでいじめが防止できるはずがないことは、学校教育を理解している人なら誰もが知っています。
 かと言って、学校教育に携わる教師が、いじめの防止に対して手をこまねいているわけにはいきません。だからこそ、学校教育の中でいじめの防止について一番にしなければならないことは、「いじめを生まない」「いじめを許さない」という“風土”を、学級や学校全体につくり上げることです。そして、その中心となるのが、「道徳教育の要」とされている『道徳の授業』なのです。
(3) 道徳の教科化が、授業を「型」にはめた指導に向かわせている
 改正された小学校学習指導要領解説の「問題解決的な学習など多様な方法を取り入れた指導」の部分では、次のことが述べられています。
 道徳科においては,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生き方についての考えを深める学習を行う。こうした道徳科の特質を生かすことに効果があると判断した場合には,多様な方法を活用して授業を構想することが大切である。道徳科の特質を生かした授業を行う上で,各教科等と同様に問題解決的な学習や体験的な学習等を有効に活用することが重要である。

 ここに書かれていることが、道徳の授業における「問題解決的な学習」を独り歩きさせ、道徳の授業を危ういものにしてしまっています。解説には「道徳科の特質を生かすことに効果があると判断した場合には」とあるのに、「道徳の授業では問題解決的な学習をすればいいんだ」という風潮が広まり、問題解決的な授業の進め方だけに腐心している教師や学校が増えています。その結果、児童生徒が問題解決的な授業の進め方に慣れて、議論をする力は伸ばしているものの、肝心の「授業のねらい」である「道徳性の高まり」に繋がっていない授業が多く見られるようになってしまいました。
 問題解決的な学習も、決して悪いものではありません。しかし、解説にもあるように、その使用はあくまでも限定的であるべきです。問題解決的な学習という授業の型が決まっていれば、そこには学習のしやすさが生まれます。しかし、学習のしやすさは「深い思考」,「深い学び」には繋がりにくいのです。道徳と他の教科との大きな違いは、道徳が「心の教育」であるということです。心を育てるためには、児童生徒の心に深く入り込んでいかなければなりません。そのためには、授業者が、毎時間最善の方法を見つけていかなければならないのです。
 また、問題解決的な学習で解決を目指す「問題」自体に、大きな“問題(危険)”がある場合があります。問題解決的な学習の方法で進められるほとんどの授業では、冒頭の話し合いの結果を受けて、本時に解決を目指す「問題」が決められていきますが、その内容に問題意識をもてない児童生徒がいれば、その児童生徒に授業の中で道徳性の高まりを期待するのには無理があります。それなのに、問題意識をもてない児童生徒がいるままの状態で進められていく授業が多くあるのです。授業の最初から問題意識をもてない児童生徒にとって、その1時間の授業にどんな意味があるのでしょうか。

(4) 道徳の教科化が、「心」の面をおろそかにしてしまっている
 道徳の授業の目標について、前学習指導要領であった「道徳的実践力」という文言が、改正学習指導要領では「道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度」という文言に変わりました。文科省は、「育成する資質・能力を明確にするために言葉を変えたが、内容的には変わりはない」と説明していますが、学校現場での受け取り方は様々で、学習の成果として、授業で扱った「内容項目」に関わる授業後の行動を注視しなければならないと捉えている教師が多くいます。
 改正学習指導要領解説の「道徳科の評価」のところでは、「道徳性」について次のように述べられています。
 道徳性とは,人間としてよりよく生きようとする傾向性であり,道徳的判断力,道徳的心情,道徳的実践意欲及び態度の内面的資質である。このような道徳性が養われたか否かは,容易に判断できるものではない。
 文科省も認めているように、道徳の授業で育てなければならない道徳性は、「内面的」なもので、その高まりは容易に見取ることはできません。その内面性を粘り強く育て、粘り強く見取っていくのが教師の役割です。それを、見取りが難しいから言って、直後の行動で評価しようとする考え方が、授業自体をおかしいものにしてしまっています。さらには、行動が評価されると分かれば、児童生徒は教師に見える行動だけを変えようとします。その行動は、何ら道徳性の高まりとは関係ありません。道徳教育で問題にしなければならないのは、行動ではなく、その行動のもととなる内面性です。だから、「考える頭」も大切なのですが、「感じる心」をより大切にしなければならないのです。

(5) 「クライシス(崩壊)」のそもそもの原因は、文科省の“ミスリード”にある
 ① ミスリード1…「読み物道徳から、考える道徳へ」が及ぼした『読み物資料軽視』の流れ

 ② ミスリード2…「考え、議論する道徳」が『議論だけの道徳』を生んでいる

 ③ ミスリード3…学習指導要領(解説)で「問題解決的な学習」を強調したばかりに

(6) 附属小・附属中で行われている道徳の授業の方法は、そのままでは一般校では使えない

※(5),(6)の詳細は、「そうぞうHouseが目指す本物の道徳の授業についての解説」に掲載してあります。

(7) 「道徳授業クライシス(崩壊)」を食い止めるには、教師が授業力を向上させるしかない

 「道徳の教科化」に対する賛否はいろいろありますが、一つだけ確かなのは、「道徳の教科化」が道徳の授業を質的に向上させる大きなチャンスであったということです。そのチャンスを無駄にし、弊害になるものをやすやすと受け入れ、結局は道徳の授業の質的向上を望むどころか、逆に道徳の授業嫌いの教師や児童生徒を増やしてしまっているのが今の道徳授業の現状です。これを「道徳授業クライシス(崩壊)」と呼んでいます。
 このクライシス(崩壊)を食い止める手立ては、一つしかありません。それは、教師の授業力を向上させることです。
道徳の授業は、何か新しい“型”を持ってきたらうまくいくというものではありません。教師が地道に自分の力量を高め、授業の中で児童生徒の考えを引き出し、深く考えさせることによって、ねらいに迫ることができる道徳の授業になっていくのです。
教師の道徳の授業力は、一朝一夕に身に付くものではありません。力量を向上させようと意識して、繰り返し授業を行うことで身に付けていくしかないのです。

(8) なぜ今、「道徳授業そうぞうHouse」なのか!?

 「道徳の教科化」による『道徳の授業の質的向上』が予想とは違う方向に行こうとしている今、この道徳授業クライシス(崩壊)を食い止め、本物の道徳授業の在り方をみんなで探っていこうという思いから立ち上げたのが、「道徳授業そうぞうHouse」です。
「道徳授業そうぞうHouse」は、道徳の授業づくりの研修会のように見えますが、講師の考えを一方的に学ぶ会ではなく、参加者全員でよりより道徳の授業の在り方を探し出していこうとする“学びの場”です。そのために、「みんなの集まる場」という思いを込めて“House”という名を付けました。
 また、“そうぞう”にも、思いを込めました。 “そうぞう”は、「想像」と「創造」の二つ言葉を兼ねています。それは、道徳の授業にとって、この「想像」と「創造」がとても大切な言葉だからです。
研究授業で最もよく扱われる内容項目の「思いやり」は、どういう字を書くのでしょう。「思いやり」の「やり」は、『遣(や)り』という字を使います。「派遣(はけん)」の『遣(けん)』であり、『遣(つか)わす』という意味です。したがって、「思いやり」とは、「相手の心に自分の思いを遣(つか)わす・遣(や)る」ことであり、「相手の心の内を想像する」という意味です。そこに「相手の立場になって考える」という道徳的価値が存在するのです。
 「道徳的実践(力)」につなげるために「想像力」が必要な道徳的価値はたくさんあります。道徳性を高めるために、「想像力」はとても重要なのです。
 ただ、「思いやり」は「想像力」だけでは不十分で、そこに「勇気」や「実行力」が伴わなければ、真の「思いやり」にはなりません。その「勇気」や「実行力」は、新しい行動の「創造」だと考えることができます。その新しい行動の創造と、授業をつくるという創造との二つの創造の意味を「そうぞう」に込めました。

 









“道徳授業そうぞうHouse”が目指す「本物の道徳の授業」

★「道徳授業そうぞうHouseが目指す本物の道徳の授業についての解説」で、次の内容を説明しています。★

Ⅰ  “道徳授業そうぞうHouse”が目指す「本物の道徳の授業」
 1 この「House」で扱う道徳の授業は、「読み物資料」を使った「中心発問」を核とした授業
 2 「道徳の授業」とは何か?
  (1) 道徳の授業の目標
  (2) 道徳の授業は、どんなことをする時間か?
  (3) その道徳の授業に、今、最も必要なのは「対話」です
  (4) 道徳の授業における「対話」とは何か?
 3 道徳の授業でできること
 4 「教科の道徳化」を目指す
  (1) 「教科の道徳化」は、道徳性の高い話し合いを他の教科でもできるようにすること
  (2) 「教科の道徳化」は、教科の授業の質を向上させ、いじめを防ぐ学級をつくる

Ⅱ 1時間の道徳の授業は、どう進めればいいのか?
 1 道徳の授業のベーシックな(基本的な)進め方を知ることからスタートする
 2 「中心発問による対話(話し合い)」こそが唯一の重要な要素であると言う観点に立つ
 3 「考え、議論し、さらに深く考える」道徳の授業を目指す
 4 授業の最後に学級全体でのまとめはしない
 5 「自分事」として考えさせるために

Ⅲ 道徳の授業力をどう高めるか? ~「中心発問を中心にした授業」をつくり出すことを通して ~
 1 道徳の授業計画のベーシックなつくり方の流れ
 2 どこを「中心発問」にするのか? (「中心発問」をつくるために、資料をどう読み込むか?)
  (1) 登場人物の道徳的な心の変化が書かれている場合
  (2) 登場人物の道徳的な心の変化が書かれていない場合
 3 どのようにして「中心発問」を作るのか?
  (1) 良い道徳の資料には、「中心発問」を導き出すヒントが上手く隠されている
  (2) 中心発問づくりのヒント、中心発問づくりで注意したいこと
   ① 中心発問として、「どこ(どの場面)」を聞くかだけではなく、「どう」聞くかまで考える
   ② 「文章中に書かれていないこと」を問う
   ③ 資料で邪魔になる部分は削除してもよい
  (3) 「中心発問」づくりの実践 ~小学校2年資料「ポケット 二つ」を使って~

Ⅳ 「教師の対話力」を高める
 1 道徳の授業を支える三つの柱
 2 児童生徒の対話力を高める前に、まず教師自身の対話力を高める
 3 道徳の授業に必要な「教師の対話力」とは?

 以上の内容で、「そうぞうHouseがめざす道徳の授業」の提案をしました。

★ホームページでは「道徳授業そうぞうHouseが目指す本物の道徳の授業についての解説」の詳細の掲載は省略しました。残部がまだ少々ありますので、お送りすることは可能です。必要な方は、トップページにあるメールアドレス宛に「住所」「所属」「ご氏名」をお知らせいただくか、同内容を投稿フォームに入力してお知らせください。郵送させていただきます。

そうぞうHouseファシリテーター代表 中村浩二

 





 模擬授業を行いました。授業者は竹内稔博先生、使った資料(教材)は「お母さんのせいきゅう書」です。

★模擬授業の様子を写真で紹介します★

(※最後の5枚の写真は、終了後も話が盛り上がり、なかなか帰らなかった参加者の様子を撮影したものです。)

 通信を発行しました。…「道徳授業そうぞうHouse通信第1号」

★画像をクリックしていただければ、大きな画像で見ていただくことができます。

★PDF版の方がより鮮明にご覧いただけます。PDF版は、ここからダウンロードできます。

 


第2回道徳授業そうぞうHouseを5月26日(土)に開催します。

■ 開催日  平成30年5月26日(土)

■ 時 間  14:00~16:30(受付13:30~)

■ 会 場  東浦町勤労福祉会館2階 会議室2

■ 内 容

 第1部 ワークショップ①

     「探ろう!! 道徳の授業の本当の課題はどこにあるのかを。」

      NHKクローズアップ現代+の「“道徳”が正式の教科に 戸惑う先生・子どもは…」の内容をもとにグループ討議をする。

 第2部 ワークショップ②

     「道徳授業づくりワークショップ」 ~読み物資料「ロレンゾの友達」を使って~

■ 参加費(運営協力費) 一般500円 学生300円

   ※ただし、年間運営協力費1,000円を払っていただくと、各回の参加費は無料になります。

■ 参加申込締切  平成30年5月23日(水) (※人数に余裕があれば、当日も受け付けます。)  

★詳細については、「開催案内」をご覧ください。

 

 


★参加申込を、このホームページの「参加申込みフォーム」でしていただけます。